終活 ひきこもりの息子を自立させるまでは死ねない

デジカメの編集画面にいつも笑顔の息子が現れる。「がんばれよ!」と小さく声に出してみる。

息子を外に連れ出す計略

、強制ではなくゆっくりと穏やかに・・・。
昨日は息子あてに短いメールを2通送った。

1通目は夕方暗くなってから、一昨日のわたしの状況を説明する文章になった。
(タイトル) 「日暮れが早い」

ya、調子はどうですか?

晩ご飯食べましたか?
お父さんは昨夜は、11時ごろ

"yaから連絡あるかなぁ?"

と携帯で時刻を確認しながら

寝てしまいました。

起きたら朝の6時でした。
それで、昨日はtマンションのペンキ塗り行かずです。

今日はがんばって行こうかなと思っていますが

どうなるかわかりません・・・

1人で行くと部屋の中はなんとなく怖いです。 

このtマンションは6月まで妻と息子か暮らしていた。賃貸である。

2人の趣味の荷物が片づかないので新しい部屋に移った後も継続して借りている。家賃の出所(でどころ)が妻の財布なので私は何も言わない言えないでいる。 

わたしの本心としては月に5万を越える家賃には"もったいない!"の極みであるが、話し合っても解決することでもなし、お互いの心に波風&わだかまりが残るだけなので放置は仕方がない。

ペンキ塗りというのは風呂場の塗り替えをもくろんでいる。壁にカビが生え一部が真っ黒に変色している。 

新しい部屋に変わるまでは「塗り替えお願い」と頼まれていた。引っ越したのでこの風呂場はそのままにしておけば良いようなものだが、しばらく借りているならと2人に断ってわたし専用のふろ場にさせてもらうことにした。

そのペンキ塗りを日付が変わって深夜に計画しているのには訳がある。

息子がスマホのゲームでポイントを集めている。スマホを携えて現実社会の店舗を訪問(前を通過するだけで良い)すると自動的に1日1ポイントが加算されるらしい。

このゲームを利用して息子を外に連れ出そうと計画している。何か切実な目的があれば出掛けないかなぁ?という思案である。

日付が変わると店舗通過でもう1ポイントもらえるらしい。11時55分に店舗前を通過し戻りの12時05分に再び前を通ると2ポイントの獲得となる。息子を乗せ車でぐるっと回って、また送り届ける。わたしはその後にペンキ塗りに向かう。

一昨日は計略主の肝心のわたしが疲れて寝てしまった。

昨日は1通目のメールで伏線を張り、2通目で誘ってみた。 

(タイトル) 「pm:11時45分」
ya、調子はどうですか?

お父さんは今夜ペンキ塗りに行きます。

その前にもしよかったらスマホのポイント稼ぎに

くら寿司へ回りませんか?
pm:11時45分にお母さんの洗濯物を持って♦♦へ行きます。

夜でだれも見ていませんし

靴もはかなくて良いので

つっかけ草履でもはいて10分ほどドライブしましょう。
ポイント収得後にまた♦♦まで送り届けます。

ちょっとがんばって出かけましょう。お父さん

約束の時間に訪ねると息子の部屋は照明が消えていた。

妻に洗濯物を渡しながら聞くと、夕方からずっと寝ているらしかった。

ということでメールは未読、昨夜の計画は失敗に終わった。

わたしだけがとぼとぼと深夜のペンキ塗りに向かう。 

(73歳と41歳が"お父さん"と呼び合ってメール交換しているのは、今の親子の雰囲気を象徴してる。この辺りのことはまた筆を改めようと思っている。)