終活 ひきこもりの息子を自立させるまでは死ねない

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アルコール依存症・閉鎖病棟からの手紙ー55ー

「ごみ処理」 安直な改革に戸惑いと 不満

am6:00、まあまあの目覚めです。

昨日の問題点、ごみ処理の件についてお知らせします。  

「連絡委員」という名称の仕事があります。患者と病院側の間に入って、日常の生活規則および読書会などの世話をする重職です。

8ヵ月間、正連絡委員を努めたAさんが先月末で退院され、新しく1、2階に各々1名の副連絡委員が誕生しました。  

1階の副連絡委員M氏は張り切りじいさんです。早速、改革を二、三打ち出しました。

その中の一つ、ごみ処理が今、大もめにもめています。

夏場に向かい暑くなるとごみは臭い、病虫害発生の原因にもなるということです。

従来各部屋の廊下にあったポリ製のごみ箱が1階の建物外に設置されることになり、さまざまな意見が飛び交っているのです。  

不便になったという人の言い分はこうです。

今までだと部屋を少し出るだけでごみを捨てることができていた、それができなくなった、特に2階の連中はごみを捨てに、わざわざ1階まで下りて行かなければならずめんどうだというのです。  

更にドアが開放されるam9:00~pm4:30以外は、廊下にごみ箱がなくなってしまったので、思った時にごみが捨てられなくなった、とも言うのです。

改革されて間もなくは、ごみを持ってうろうろする者も相当いたようです。  

このもめごとの出発は、新副連絡委員のM氏がごみ当番の不満だけを取り入れて事に当たったからなのです。

ごみ当番一人の意見を解決しようとして一肌脱いだつもりなのが、ごみ箱を1ヶ所に集中してしまったことの真相のようです。  

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先ず2階のヤー様から「何で変えるんや」と詰め所へ文句が出ました。

詰め所の優柔不断な態度ももめ事を大きくしてしまいした。

ごみ当番は最低2週間、患者持ち回りの奉仕の仕事です。水物があり手や服が仕事中に汚れるというのが今回当番になった者の不満の一つでした。

1銭にもならないのにどろどろになるから勘弁してほしいと言うのです。  

2階はごみが多いので下に運ぶのがしんどい、ごみ焼却器まで運搬するのに空箱がない、不満はきりがありません。

詰め所では黒いビニールのごみ袋に入れてほしいと指導しました。しかし、破れ易く運びにくいという理由でごみ袋案は簡単に蹴られてしまったのです。

もしビニール袋に入れるとしても、ビン、缶類をどう選別するかの問題点も別に出てきています。  

長い期間続けられてきたことが急に変更されたのです。確かに戸惑いもあったでしょう。もめにもめ続けました。

詰め所は患者どうしで話し合って解決してほしいの一点張りで、突っぱね るばかりです。  

M氏が間に入っていちばん困惑しています。

最後にはM氏一人が悪者にされてしまったようなのです。というのも、たった一人のごみ当番の不満を真に受けてしまったからです。

そのごみ当番はズボラで通っている患者であり、新人のM氏がそのことをよく理解していなかったからなのです。

患者のためといいながら、一(いち)ごみ当番の不平不満だけを聞いて安直に改革に着手したことがこの事件の根本であるようです。

改革がすでに実行されていることから、M氏のメンツもあり収拾に手間取っています。

M氏と当番がしきりとミニ会合を開いています。詰め所の態度も依然としてはっきりしません。自分たちの負担にならないように逃げ回っている感じです。

ともかく改革は進み、日を追ってその事例は皆に慣れはじめました。このままの方法で上手く解決されるかもしれません。

何かをやる時は、それが長く続いていたものであればあるほど、改められたことに関わりを持っていた者は戸惑いを感じるものです。

しかし、その困惑を衆知で乗り越えて行かなければ、院内の不都合は一つも良くなってはいかないでしょう。  

おいちゃんは客観的に物事を眺めていて、どちらの立場に立つか意見がぐらぐらしました。まだまだ不勉強極まりありません。心して謙虚になろうと心を引き締めています。  

今日も寒い朝です。風邪をひきかけです。くしゃみがひっきりなしに出ます。

疲れは少し取れてきましたが体は相変わらずだるいです。

しかし、頭の方は徐々に回復してきています。どうか心配ありませんように。               

(この記事はブログの原点になるアルコール依存症からの回復日記である。
昭和61年(1986年)、アルコールの専門病院に入院したわたしが妻に向けて毎日書き綴った手紙で、病院の玄関にある郵便ポストに切手を貼って退院の日まで投函し続けた。)

 

 

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