アルコール依存症・閉鎖病棟からの手紙ー37ー
「開放感」 普通に健康な人は・・・
のどがイガイガします。
少し痛みもありますし、せきがなかなか止まりません。肺の奥の方がうっとうしいのです。体がだるくて今日は何もかも投げ出したくなっています。
ビールが飲みたい、酒が飲みたい、飲みたい、飲みたいの繰り返しです。
でも安心してください。「‥・したい」の願望だけで、1杯飲んだらどうなるのかはこのごろよく認識しています。もうだいじょうぶです。
疲れるとアルコール飲料が欲しくなるのは、今までの習慣というやつでしょう。つばを飲み込んでも、のどが痛みます。
また心配症が始まったと圭Keiに笑われそうですが、この自覚症状はよく知っておいてください。
将来もし悪性のしゅようが見つかるとすると、昭和61年3月のせきがそれです。今すぐにどうこう処置しなければならないという急性のものではありません。
しかし実際に痛いし気色悪いことこの上もありません。いつもこれさえなければと思います。
アルコールが体に回っていないので痛みが特に拡大されて感じられるのかもしれません。酒が入ると脳の一部がまひして苦痛が薄らぐのです。
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先日の日曜日、朝6時にすっと目が覚め何も無理をしていないのに体が動いて、服を着替え田んぼへ行っていました。
体のどこにも違和感、不快感はなく、ごく自然にふるまえたのです。普通に健康な人はこの開放感をいつも味わっているのかと思うと悔しくもあります。
おいちゃんの過ぎ越し方を情けなく感じます。反面、健康体に戻りつつあることに喜びを実感せずにはおれません。
ほんの数時間でしたが貴重な朝の体験でした。自室へ戻るとまたあちこちと痛くなり、いつもの不定愁訴が現れていましたが、精神的に非常に楽なひと時でした。
現在感じているこの痛さ、しんどさは疲れ過ぎなのでしょうか。あるいは敏感な感覚から生じる架空のものなのでしょうか。
夜はよく寝ているつもりですが、案外、熟睡できてていないのかも。
(この記事はブログの原点になるアルコール依存症からの回復日記である。
昭和61年(1986年)、アルコールの専門病院に入院したわたしが妻に向けて毎日書き綴った手紙で、病院の玄関にある郵便ポストに切手を貼って退院の日まで投函し続けた。)