終活 ひきこもりの息子を自立させるまでは死ねない

デジカメの編集画面にいつも笑顔の息子が現れる。「がんばれよ!」と小さく声に出してみる。

自立とは ? 10年後のベーシックインカム

息子と会ったとき、

f:id:ya8014ya:20181112171050j:plain

(ペチュニア 桃色吐息)

(会うのはたいてい離れて住んでいるマンションに届け物をするときくらい。

彼は昼夜逆転の生活をしているので一番奥の部屋から出てくるのはマレである。だからタイミングが良くないとなかなか会えない。

電話で話をしようと思えばこちらが時間を吟味し操作すれば気軽にスマホを手に取ってくれる。まあ、息子から掛かってくることはめったにない。

だから反対にわたしの携帯が鳴って息子の名前が表示されると"ドキッ"とする。

7年前に妻の術後は"お母さんしんどい言うてる"と頻繁に電話がかかってきた。

寝入りばなに起こされるのもしょっちゅうだった。わたしは跳んで行って大概の場合は救急車を呼んで一緒に付き添っていく。

息子は心配そうな顔をして(自身の気持ちの処理が出来なくて、そんなときでも"しんどくなったら電話するからすぐ戻って来てや"なのである。

出がけに何十回と聞いた言葉であるが、途中で電話が実際にかかって来たことは全くない。"しんどくなったら・・・"と言葉に出して言うことで自分の気持ちを安心させいてるようだった。)

広告
 

上記、会ったとき、の但し書きで(  )にくくって記述したが400字をを超えてしまった。何の話をしようと思っていたのだろう?あっそうそう"自立"についてかき込もうと考えていた。

わたしは息子と玄関で立ち話をする。

「自立ってなにも外に出て働くことでないよなぁ」とわたし、息子はわかっているのかどうなのか?軽くうなづいてくれる。

「外に出なくてもインターネットなどで生活費を稼げたらそれでいいとお父さんは思う。」

自立について最近少し考えていた概念を久しぶりに会った息子にちょっと打ち明ける。

大概の人は食べるため必要に応じて外に出て働かなけれはならない。

お金をたくさん持っていたら悠々自適で暮らして良いのである。いっぱいある時間を持て余したらちょっと暇つぶしに働けばよい。残りは自分の好きなことをしていれば時間がかってに過ぎていく。

サラリーマンを経験したわたしにとって就職とは自由を拘束される地獄であった。特にアルコールの禁断症状に見舞われていたときはもがき苦しみ抜いていた。

一家の大黒柱でなけれはならないのに精神が堕落しきっている、見下げ果てた人間になつたもの、と自分を貶(おとし)めていくのが常だった。

先日、息子に"自立"言ったとき、意外な言葉が返ってきた。

"ベーシックインカム"

f:id:ya8014ya:20181112141910j:plain

「なにそれ」

わたしは普段新聞テレビから遠ざかっているので最新の情報から疎くなっている。

息子「ITの進歩で職を失う人間がいっぱい出てくるから10年後位に一人10万円くらいもらえるようになる。それで生活できるなら働かなくてね良くなる。ぜいたくしたい人が仕事をすればいい」

息子は貧しくても彼女が出来なくても気ままに今の生活か継続すれば良いと思っているらしい。現在の生活は母親の費用で賄われているが、それを除けても最低限の生活で良いと感じているようである。

せっかく生まれてきたのにそれは寂しい、などと人にはいろいろと意見があるだろう。息子も今の現状を決して肯定しているわけではないはずだが、あきらめを交えベーシックインカムの10万円いという。

「10年後かぁ、それまでお父さんは生きてないかもしれない、どうなるのか知りたいからがんばって長生きせんとなぁ」

初めての言葉だったのでアパートに戻つて検索を掛けてみた。もらえる金額は民主党の試算では成人に一律6、7万円らしい。息子の10万円よりははるかに少ない金額でこれではちょっと足さなければ生活は出来そうもないが・・・。

「ベーシックインカム」

一部の特権階級だけが良い思いをする現在の仕組み(分配方式)を変えていくにはおもしろいやりかたである。

これから紆余曲折、まだまだすごい力が要るのだろうが、その話し合いの過程はおもしろそうである。もうちょっと長生きしてみたくなる。

落語に与太郎が出てくる。町内の熊さんが与太郎に意見をする。

「いつもぼーっとして働きもせずブラブラと、もうちょっとしっかり働かんといかん」

与太郎「なんで皆働くの?」

「そらぁいっぱい稼いで楽するためや」

「楽するって?」

「天気のいい日に縁側で日向ぼっこしながらぼーっとできる」

「それなら、ぼーっとしてる今と一緒や」

いまわたしはベランダでうさぎを飼っている。見ているといつもいつも食べている。

うさぎ 食欲の秋

うさぎはわたしから餌を与えられるから働かなくてもいい。餌が自動的に目の前にこないとき、うさぎは餓死するのだろう。

自立を考えながらずうっとうさぎを眺めている。