終活 ひきこもりの息子を自立させるまでは死ねない

デジカメの編集画面にいつも笑顔の息子が現れる。「がんばれよ!」と小さく声に出してみる。

アルコール依存症・閉鎖病棟からの手紙ー33ー

「体験談」 人前で無理なく話す練習に

『 』の文章は、昨日と同じS病院長・M氏の著書から書き写したものです。

『信用できないといっても、彼が嘘つきだというわけでなく、自分の言ったことを守る能力を失っているということなのである。

このことが全く自覚できないアルコール症者が、明日からは酒をやめるとか、今度の日曜日はみんなでドライブに行こうとかいっても、まず、そのとおりになることはない。

にもかかわらず、どういうわけか彼らは実にしばしば妻や子に約束をしょうとする。

毎度裏切られている家族にすれば、夫なり父親なりが口を開けば、ただもう敵意と憎しみしかわいてこない』  

am、6:30起床。今日はなんとか定時に起きることができました。洗顔、体操、朝食、洗濯と時間があわただしく過ぎ去っていきます。

昨晩は岸和田の断酒会(久米田)へ顛を出してきました。全部で20人くらいの会合です。その内S病院からは10人が参加しています。盛況で支部長は大喜びだったそうです。  

おいちゃんも体験談をしました。昨夜の出来は40点をクリアしたでしょうか。声の震えも少しずつなくなってうれしいかぎりです。しやべくりは場数を踏むことだと聞きます。

断酒例会を話し方教室だと考えて、進んで恥をかきに行こうと思います。そのうちに慣れて、自分の心にあることを人前で無理なく語れるようになれるかもしれません。これからはあせらずにこつこつと断酒会百回出席を 目標にがんばります。

大勢の前でしやべれるようになった時のおいちゃんはまだ想像がつきませんが、もしそうなったら怖いものなしでしょう。楽しみにしていてください。  

NRはとうとう見つかりませんでした。Yさんは捜し疲れ帰ってきて、「だめだった」とひと言いったきりです。

天王寺公園、茶臼山、じやんじやん横丁、三角公園、飛田新地、センター前とぐるっと一回りして釜ケ崎じゅうを捜し尽くしたようです。

Nはどこにも居なかったそうです。昨日今日と寒いのに野宿するとなるとたいへんです。  

雨が小やみなく降り続いています。こんな日は空気が湿ってゆううつです.しかし、春の雨の輝きに免じて許してやることにしましょうか。

日一日と暖かくなります。病院の玄関の梅が満開ですよ。

O先生に呼ばれて胃透視の結果を聞かされました。「何ともない」とのことです。

「食道も、胃も、胃のさきっちょも何ともありません.これで安心ですね。後は断酒会回りをしてください.地域の断酒会とつながって飲まんようにしてください。

外泊して飲んで帰る者がこのごろ多いので飲まんように注意してください」といっぱい言われました。

N主任も「体なんともなくてよかったなあ」と言ってくれます.  

肝臓がまだ少し悪いので点滴はもうしばらく続きますが、とにかく安心しました。しみじみと何ともなかったことの喜びをかみしめています。

pm、1:00から院内断酒会です。今日の会は、体験談をする順番ではないので、眠いのになりそうです。おいちゃんに必要なのは発言の機会のある例会です。

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今週の土曜日はKeiちゃんも一緒に行くんやでえ!何をしやべるのかよく整理しておいてください。夫婦そろってしどろもどろでしたらかっこ悪いでしょう。

せめて嫁さんだけでも上手に語って、だんなのあかんところをちゃんとカバーしてくれなくては困りま す。よろしく頼んでおきます。  

体にこびりついているこの不安感はいつになったら取れるのでしょうか。

今でもやはり患者同士でどこかへ行くことを想像すると、あのドキドキが起こりはしないかと予期恐怖がわいてます。

意志の力では感情の起伏をどう操作することもできません。不安は不安のままで恐怖に突入しろです。言えば簡単です。

この予期恐怖、強迫観念がおいちゃんの病の根本なのです。なかなかしつこいので、ふっ切るまでもっともっと時間が必要になるでしょう。  

バスに乗って皆とどこかに出掛けるとなるとバスの中で動悸が激しくなったらどうしょう、と昔の癖ですぐ考えてしまいます。

頭では理解が出来るのですが、心はいまだに拒否しています。安定剤がわりの酒なしでは行動にどうしても不安が付きまとうのです。  

3月27日(木)、ソフトボール部で弘済院行きが計画されています。バスで片道2時間です。4月3日(木)は桜見物です。和歌山までバスで片道1時間余。誘われています。

どうしょうか迷っています。無理しなくてもいいという心と、何ともならないのだからどしどし行事に参加してがんばるようにとする心が葛藤を起こしています。

これも治療のうちでしょうか。誘われる分だけでも参加してみましょうか.  

ちょうど断酒会から帰ってきたところです。院長の話は「怒り」をいかに処理するかでした。依存症者は特に心せねばならないということです。

1杯飲むと逆戻りです。怒って酒に走らないようにするには、どのようにすればいいのか学んでいます。  

Keyちゃん、体の調子はどうですか。いつも心配しています。Keiには長生きしてもらって、おいちゃんの立ち直る姿を見てもらわなければなりません。いままでかけた迷惑の償いもしたいのです。

yaがせめて成人するまで二親そろっていてやりたいと思います。お互いに食べるものに注意をはらって努力しましょう。楽しい日常生活の復活を望みます。

ここで「はい!」と言えなければ家族も病気です。

ya、満塁ホームランおめでとう。気持ちよかったやろ!お父さんもそれを聞いてうれしくなりました。

毎日、壁打ち百回やっていますか。21日(金)には帰ります。キャッチボールしよう。

それまで練習して体の正面でボールを取れるようにがんばってください。お父さんは楽しみにしています。  

野球の本もよく読んで、いろんなことをおぼえるようにしてください。頭の悪いやつは野球がへたくそです。

いつもクロマティが頭を指差して「頭、頭」とやっているでしょう。あれは「野球は頭でやるんやぞ」と言っているのです。

「頭のかしこさがちがうから、俺は野球がうまいんだ」ということです。  

yaも頭で野球ができるように、いろんなことを勉強しておくように。21、22、23、24日はお父さん家にいます。

毎日キャッチボールするんやでぇ。ええか。かくごしておくように。お父さんより。

 (この記事はブログの原点になるアルコール依存症からの回復日記である。
昭和61年(1986年)、アルコールの専門病院に入院したわたしが妻に向けて毎日書き綴った手紙で、病院の玄関にある郵便ポストに切手を貼って退院の日まで投函し続けた。)

 

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